晩白柚ルポルタージュ

熊本に住む33歳の日記です。 2019年5月までトロントでワーホリをしていました。一人旅、カレー、キャンプなどについて書いています。

トゥクトゥクは風を切る~2017年カンボジア旅行記(2)

晩白柚です。

前回からカンボジア旅行記をお送りしています。

 

前回の記事はこちら。熊本空港を出発し、シェムリアップに降り立ったところまで書きました。

 

 

空港に群がるドライバーたち

空港出口の扉を開けると、バックパックを背負って行き場を探す旅人たちと、彼らに声を掛けんとする、多くのトゥクトゥクやタクシーのドライバーたちがうろついています。

僕はトゥクトゥクに乗ってシェムリアップ市内まで向かうつもりでした。どこかで、トゥクトゥクを捕まえなければ‥。

 

空港の敷地内をふらふらしていると、二人組の男が、

 

「やあ、お兄さん。何か探しているのかい」

「ええ。トゥクトゥクを探しているんですが」

「じゃあ、空港出口の隣にチケットカウンターがあるから、そこでトゥクトゥクのチケットを買いなよ」

 

なるほど、チケットを買う必要があるのか。早速彼らが言うチケットカウンターに行ってみると、そこには「Tuktuk $9」の文字。

9ドル?日本で事前に調べたところでは、シェムリアップまでせいぜい5ドルだったはず。9ドルというのは少し高いんじゃないか‥。

 

「どうした?お兄さん。トゥクトゥクに乗るには、チケットを買うんだぜ。ほら」

うしろで男たちがまくし立ててきます。しかしどうも納得できない。No,thank you.と彼らを振り切り、空港の敷地を出ることにしました。国道に出れば、流しのトゥクトゥクを捕まえられるはず。

 

流しのトゥクトゥクをつかまえる

空港の門を出ると、国道の向こう側からさっそくトゥクトゥクが近寄ってきました。しかも、2台。

 

片方の若いドライバーが、

「お兄さん、こっちに乗りなよ!5ドルで市内まで行こう!」

するともう片方のおじさんドライバーも、

「いやいや、こっちに来な!4ドルで連れてってやる」

応酬が始まります。

 

4ドルというのは、既に相場より安い値段です。そちらに乗ってしまうのもいい。しかし、ここでさらにカマをかけてやるのも面白いかもしれない。

 

3ドルにならないんですか?3ドルの方に乗ります

 

3ドルというのは破格の安さです。一方はぬぬぬ‥という顔をしながら躊躇していますが、ついにおじさんドライバーが、

 

「OK,OK!3ドルで連れてってやろう。さあ、乗るんだ」

 

交渉成立です。こうして僕は、これから4日間に渡ってお世話になるトゥクトゥクドライバー・サマスさんとの出会いを果たしたのでありました。

 

タケオゲストハウス

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サマスさんの無骨で何の飾り気もないトゥクトゥクが風を切って走ります。カンボジアに着いてからあまりの暑さにさっそく額から汗を滴らせていた僕ですが、このトゥクトゥクという乗り物は非常に爽快で、涼しい風が顔に当たってすぐに汗が引いていきます。

 

「市内のどこに行きたいんだい?」

「タケオゲストハウス、という宿に行きたいのですが、ご存知ですか?」

「ああ、知ってるよ。有名だからね」

 

タケオゲストハウスというのは、シェムリアップ市内でもかなり老舗な日本人向けのゲストハウスです。事前に調べたインターネット上の記述では、「その存在は伝説」とまで書かれています。一方で、内装があまりにも古すぎて汚く、とても我慢できるものではない、という声もありました。

しかし、伝説とまで言われているならば、その宿に泊まらないわけにはいかないでしょう。ドミトリーは1泊3ドル。3泊しても10ドルにも満たない安さです。

 

サマスさんには道路で待っていてもらい、タケオゲストハウスにチェックイン。ドミトリーに荷物を置きます。ずいぶん古い内装ですが、ベッドのシーツは新しいものに替えてあるようです。

宿泊客は、まさかの僕一人。ブーン‥と扇風機の音だけが寂しく響き渡ります。この閑散とした雰囲気は何だ、伝説の宿ではなかったのか‥。少し懐疑的になりながら、外で待つサマスさんの元へ戻りました。

 

チェックポイントとあやしい警官

この日、さっそくアンコール遺跡群を見て回ることにしました。

「これから数日間、シェムリアップを観光して回るんだろう。俺が案内してやるよ」

とサマスさん。成り行きで、この先のドライバーも彼に務めてもらうことになりました。

 

遺跡の中へ立ち入るには、入場券(アンコール・パス)が必要です。まずはそのパスを買うため、チケット・チェック・ポイントという料金所へ向かってもらいます。

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ここで3日券を62ドルで購入。

料金所を出て、トゥクトゥクへ乗り込もうとしていると、「POLICE」の腕章をした制服のおっさんが近寄ってきて、

 

「コンニチハ。コレ、バッジ。キュードル」

 

自らの胸のバッジを指差し、カタコトの日本語で何か言っています。言いたいことがよくわからず、ぽかんとしていると、おっさんは胸のバッジと同じものをズボンのポケットからちらりと見せ、

 

「オミヤゲ。バッジ。9ドル」

 

このおっさんは、警察のバッジを9ドルで僕に売りつけようとしているのです。この国の警官はいったいどうなっているんだ‥。思わず笑いがこみ上げてきました。果たしてこのおっさんが本物の警官かどうかもわかりませんが、いらないよ、と断ってトゥクトゥクに乗り込みました。

 

次回はアンコール・ワットやアンコール・トムに向かいます。長くなりましたので、また次回。

 

2017年9月12日

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